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汚泥を原料とする肥料の登録・製造時に必要となる重金属等の
サンプリング検査また検査項目・頻度等の設定に必要な各種データ取得・分析
-実証項目の達成目標-
a.重金属、有害生物に関する検査(安全性評価)

【実証の目標値】
重金属については下水汚泥中の重金属の許容値(上表参照)を参考に、全成分を対象とし、年間4回の調査を実施し、その検査項目・頻度の設定を行う。また、有害生物については国内に基準とする指標が無いため、アメリカ合衆国環境保護局(United States EnvironmentalProtection Agency)が策定した40CFR Part503 RuleにおけClass Bたい肥の基準(下表)を参考指標として確認し、検査の必要性およびその頻度について検証を行う。
表:汚泥肥料中重金属の許容値(単位 mg/kg)
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表:米国におけるたい肥の微生物学的な衛生基準
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b.植害試験(安全性評価)
たい肥が完熟したタイミングで、肥料の品質の確保等に関する法律(以下、肥料法)によって次の普通肥料を登録する際に義務づけられている植害試験を実施し、肥料としての安全性を確認する。
c.下水汚泥を原料とするたい肥を施肥した圃場の土壌分析(機能評価)
下水汚泥を原料とするたい肥について、施肥度の土壌改良効果を確認するため、土壌の化学性及び物理性について調査を実施する。施肥前および施肥後を比較し、その改善効果を定量的に評価する。
d.施肥した圃場での栽培した作物の品質調査(品質評価)
1)水稲:(調査項目)等級(落等要因含む)、タンパク値
2)秋まき小麦:(調査項目)等級、タンパク値
3)たまねぎ:(調査項目)変形度合等
4)大豆:(調査項目)検査等級
5)その他共有項目:ア.重金属 分析項目:ヒ素、カドミウム、鉛、スズ、総水銀
イ.放射性物質 分析項目:ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137
-目標に対する現在の達成状況 2023年度-
a.重金属、有害生物に関する検査(安全性評価)

・たい肥の製造にあたって、原料となる下水汚泥及び地域資源の分析を実施した。下水汚泥は季節変動を確認するため、8月、11月の2回サンプリングを実施。

・下水汚泥、原料ともに重金属、有害生物について許容値を下回っていることを確認した。数値は下記表の通り。

・下水汚泥については今年度2月にも分析を行い、季節変動を確認する。
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・下水汚泥及び地域資源に含まれる有害生物は下記の通りとなっている。
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b.植害試験(安全性評価)
たい肥未完成のため未実施
c.下水汚泥を原料とするたい肥を施肥した圃場の土壌分析(機能評価)
・土壌情報の整理として、10月に土壌採取(化学性・物理性)を行い、土壌分析を実施した。
・12月末時点で、土壌採取及び土壌診断の状況については、表のとおりである。
・今秋期にプラウ耕起後のため物理性採取が行えなかった圃場については、化学性分析のみとし、来春土壌採取を実施する予定である。
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・土壌分析値(化学性・物理性)は下記の通り。空欄は分析中もしくは来年春の実施を予定している。空欄については未分析
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d.施肥した圃場での栽培した作物の品質調査(品質評価)

たい肥未完成のため未実施
-次年度の計画案-
a.重金属、有害生物に関する検査(安全性評価)
・下水汚泥モニタリング:4回(令和6年5月、8月、11月、2月)
・原料モニタリング:1回(令和6年9月-11月)
・完成たい肥モニタリング:1回(令和7年3月)
b.植害試験(安全性評価)
・たい肥完成次第実施(令和7年3月)
c.下水汚泥を原料とするたい肥を施肥した圃場の土壌分析(機能評価)
・今年度未実施分を早急に実施する(令和6年4月)
・令和6年度も同様に分析実施(令和6年10月-令和7年3月)
d.施肥した圃場での栽培した作物の品質調査(品質評価)
・施肥圃場での生産物について調査を実施し、肥料としての有効性を確認する。(9月-11月)
・西谷内農場(水稲直播)圃場については、次年度輪作体系を導入のため、圃場が変更となる可能性がある。
-目標に対する現在の達成状況 2024年度-
a. 重金属、有害生物に関する検査(安全性評価)

■製造した下水コンポストの重金属含有量に関して

・原料となる下水汚泥、地域資源、製造した下水コンポストを対象に分析を実施した。R6年度の下水コンポストの製造はR7年2月に製造が完了する見込みであり、検査は未実施。コンポストの原料となる下水汚泥は季節変動を確認するため、5月、8月、11月の3回サンプリングを実施した。

・下水汚泥、原料ともに重金属、有害生物について許容値を下回っていることを確認した。数値は下記表の通り。
表 R5年度分析結果
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表 R6年度分析結果
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■下水汚泥の重金属含有量の季節変動について

・原料となる下水汚泥の季節変動はR5年度及びR6年度の計5回の調査結果を元に変動性を確認した。表に示した通り、すべての項目において、最大値から標準誤差を考慮しても許容値(赤線)を大きく下回ることが確認できた。
表 R5年度およびR6年度における下水汚泥に含まれる各重金属の平均値と最大値(赤線:許容値)
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■土壌中に含まれる重金属について

・下水コンポストを利用することで土壌中の重金属の含有量の変化量を確認するため、各生産者圃場に対照区を設置し、土壌を採取した。斎藤農場(大豆、水稲)、峯農産(水稲)、安藤農産(玉ねぎ)の圃場については令和5年度製造した下水コンポストを散布したため、散布前と散布後の2回調査を実施している。西谷内農場、池田農場については、次作で下水コンポストを利用するため、散布前の土壌のサンプリングを実施した。

・次年度に向けて、土壌のモニタリングを実施、下水コンポストの影響を評価していく。
表 各生産者圃場に含まれる重金属の含有量
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■下水コンポストおよび原料に含まれる有害生物について
・下水コンポストおよび原料となる下水汚泥、地域資源に含まれる有害生物の量を確認した。許容値を下回っていることを確認することが出来た。
表 下水コンポストおよび原料に含まれる有害生物量
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b.植害試験(安全性評価)
・R5年度製造した下水コンポスト3種類の植害試験を実施した。当試験は、「植物に対する害に関する栽培試験の方法」(昭和59年4月18日け59農蚕第1943号農林水産省農蚕園芸局長通知、改正令和3年10月12付け3消安第3183号農林水産省・安全局長通知)に沿って実施した。結果は下記の通り。
・「①下水汚泥+もみ殻」の植物に対する害に関する栽培試験結果

(ア)供試作物の種類及び品種 こまつな
(イ)施用の設計及び試験区の名称
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(ウ)発芽試験及び生育調査成績
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(エ)結果
供試料区の発芽率(4/12)は、標準区と同等の成績を示した。
供試料区の葉長(4/30)は、標準区と比較して上回る成績を示した。
供試料区の生体重の平均値は、標準区の生体重平均値と比較して上回る成績を示した。また、植物の生育上の異常症状は認められなかった。以上より合格と判断した。
・「②下水汚泥+玉ねぎ残さ」の植物に対する害に関する栽培試験結果
(ア)供試作物の種類及び品種 こまつな
(イ)施用の設計及び試験区の名称
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(ウ)発芽試験及び生育調査成績
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(エ)結果
供試料区の発芽率(4/12)は、標準区と同等の成績を示した。
供試料区の葉長(4/30)は、標準区と比較して上回る成績を示した。
供試料区の生体重の平均値は、標準区の生体重平均値と比較して上回る成績を示した。また、植物の生育上の異常症状は認められなかった。以上より合格と判断した。
・「③下水汚泥+麦殻」の植物に対する害に関する栽培試験結果
(ア)供試作物の種類及び品種 こまつな
(イ)施用の設計及び試験区の名称
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(ウ)発芽試験及び生育調査成績
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(エ)結果
供試料区の発芽率(4/12)は、標準区と同等の成績を示した。
供試料区の葉長(4/30)は、標準区と比較して上回る成績を示した。
供試料区の生体重の平均値は、標準区の生体重平均値と比較して上回る成績を示した。また、植物の生育上の異常症状は認められなかった。以上より合格と判断した。
c.下水汚泥を原料とするたい肥を施肥した圃場の土壌分析(機能評価)

・実証項目1.②にて整理、報告した通り。
・土壌情報の整理として、対象圃場についての土壌分析(化学性・物理性)を実施した。(表)
・作物刈取後の土壌分析結果では、実証区において物理性の気相率が改善してきていると考えられる。
表 土壌分析結果(化学性・物理性)一覧と下水汚泥コンポスト散布前後の土壌比較(P15と同一)
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d.施肥した圃場での栽培した作物の品質調査(品質評価)
・作物の収量と品質については実証項目1.②にて報告した通り。
・計画していた放射性物質に関する検査は、重金属の検査を優先したため、生産物の十分な量が確保出来ず、実施できなかった。
-その他-
■下水汚泥に含まれるPFASについて
・下水汚泥に含まれるPFASの分析を実施した。分析対象は消化汚泥、脱水ケーキ、脱水ろ液、放流水(11月のみ)とし、5月、11月の年2回実施した。
・分析方法については、米国EPA に準拠した。分析結果は下記の通りであり、当処理場の下水汚泥にも含まれることを確認した。11月の分析は分析中。
 
5/22採取結果
・消化汚泥 : PFOS 100ng/L未満、PFOA 100ng/L未満
・脱水ケーキ(脱水汚泥): PFOS 4.1ng/g-dry、PFOA 0.5ng/g-dry未満
・脱水ろ液(5/22) : PFOS 200ng/L、PFOA 84ng/L
・11月の結果を踏まえ、季節変動性の有無の確認を行い、引き続きモニタリングを実施していく。
-次年度の計画案-
5)次年度の計画案
a.重金属、有害生物に関する検査(安全性評価)
・下水汚泥モニタリング:4回(令和7年5月、8月、11月、2月)
・原料モニタリング:1回(令和7年9月-11月)
・完成たい肥モニタリング:1回(令和7年3月)
・試験圃場土壌モニタリング:1回 ※重金属のみ
・栽培作物モニタリング(水稲、大豆、小麦、玉ねぎ):1回 ※重金属のみ
b.植害試験(安全性評価)
・年度内に試験が完了しないため実施しない。
c.下水汚泥を原料とするたい肥を施肥した圃場の土壌分析(機能評価)
・令和7年度も今年度と同様に分析を実施する。
d.施肥した圃場での栽培した作物の品質調査(品質評価)
・施肥圃場での生産物について調査を実施し、肥料としての有効性を確認する。放射性物質の検査については検体を供給してもらう生産者との協議の上、決定する。
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